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2009年11月 7日 (土)

ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶

大崎善生さんの「ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶」の再読がかなり時間がかかりましたが、終わりました。

今回も「九月の四分の一」に引き続き、印象に残ったフレーズを記録していきたいと思います。

このドイツイエロー、もしくはある広場の記憶は九月の四分の一と対をなすような恋愛短編で、主人公はすべて女性で書かれています。

ストーリー自体を楽しむというよりは端々から伝わってくる言葉やメッセージを楽しむ類のものだと思うので問題ないかと思いますが、何も知りたくないという方はここで止まって読んでからまた来てください^^

では、僕の選んだフレーズをどーぞ。

”キャトルセプタンブル”より

何よりも苦しかったのは、自分の感情をコントロールできないという事実だった。

勝つことでも負けることでもなく、戦い自体が不幸で不毛なのだという意味で、それはやはり戦争に似ていた。
男と女が別れていく理由は、この世には掃いて捨てるほどにあるのだ。それこそ、際限なく、星の数ほど。
つながってゆく理由は、たったひとつしかないというのに……。

道端に咲く花を見て「きれいだね」と智也に言うことで、私は初めてその花を美しいと思っている自分を知ったのである。

「人それぞれに分かれには速度がある。百キロで別れていく人と十キロで別れていく人。そのスピードをうまく合わさなければ、体を引きちぎられてしまうわよ」

自分だけが苦しいと思うことが、最大の病巣なのである。

人は私の前から消えていくかもしれないけれど、懸命に人を愛した私の思いはいつまでも自分の中から消えてゆくことはない。

”容認できない海に、やがて君は沈む”より

タオルを通して母の体温が確実に伝わってくるのを感じながら、まるで自分はサイボーグか何かでこうやってエネルギーを充電されなければ動くこともできないのかもしれないと考えていた。

”ドイツイエロー”より

あれだけの時間を費やしたことが、ただの無駄だったとは思いたくない一心で、また深みにはまりこんでゆく。それの繰り返しなんだ

”いつか、マヨール広場で”より

別れようと言われたことによって、はじめて付き合っていたことが証明されたような、そんな感じだった。

よりクールになることが自分の長所を一層磨くことなのだと、どこかで信じ込んでしまった。

高校時代の受験が大学という自由への入り口に進むためのものだったのだとしたら、それからの勉強は就職という不自由につながってゆくものに思えて仕方なかったのである。

私にとって救いだったのは、本能的に閉ざそうとする扉を無理やりこじ開けようとするパワーが彼女に伏在していたことである。

***********************

こんなとこですかねー。前後の文章を省いたりしているので、伝わるかわかりませんがこれを読んでこの小説を手にとって頂けたらそれはそれは嬉しいものです。

静かながらもメッセージがある小説が好きな方はぜひ読んでみてください。特に女性目線なので、女性が読んだら僕とはまた見方が違うでしょうし。

みなさんの印象に残ったフレーズと僕が上記したフレーズにどこまで重なりがあるかを比較も面白いかもしれません。

ではでは。

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